伊東甲子太郎
- 役名
- 二番組組長、参謀、文学師範
- 流派
- 北辰一刀流剣術、神道無念流剣術
- 出身
- 常陸新治郡
- 紹介
- 三木三郎の実兄。江戸深川佐賀町の伊東誠一郎道場に入門、誠一郎が没した文久元年ごろ、その娘ウメの婿となり道場を継ぐ。
元治元年秋、同門の藤堂平助の勧誘により新選組入隊を決意。同年十月十五日に上洛。 - 引用リスト
新選組、敗れざる武士達
甲子太郎が言う「大開国大攘夷」とは、外国に迫られたから開国するのではなく、天下公道、国家百年の計に基づいて自ら開国しようという考え方である。それを挙国一致で、争うことなく実現しようとしたのである。 伊東甲子太郎の思想が薩長と違って優れていたのは大きく二点、武力に依らない挙国一致内閣の実現と、自ら率先しての開国だ。そして「大攘夷」とは、その上で諸外国と対等な国交を目指すということである。 |
- 伊東甲子太郎がとなえていた「大開国大攘夷」についての解説です。
新選組意外史
伊東甲子太郎の北辰一刀流は、そうした事大主義はとらない。飛び込んでゆき、 「覚悟ッ……」 手拭を首っ玉にまきつけた風采の者を、 「二つになれ……」と、真っ向う唐竹割りに肩先から斬り下げた。 そして返り血を浴びながら次の者を、 「……うぬもか」と胴斬りしてのけた。 |
- 独自な解釈の歴史書籍を数多く出されている八切止夫の新選組意外史です。山南敬助、永倉新八、伊東甲子太郎など新選組の主要な人物ごとに章立てて描かれています。
- 引用の一節は近藤勇らと長州訊問使として長州の情勢を探っていた伊東甲子太郎が刺客に襲われた場面です。
- 出てくる人みんな他の小説とかとはちょっと違う描かれた方な感じでした。主に悪い方に…
- 新選組が水戸から会津、勤王から佐幕へと転換した日和見の組織と描かれておる。
- 格好いい新撰組隊士の話を見過ぎて、違う感じのが読みたいひとには良いかもね。
新選組(中)
「伊東君。もうとめても駄目だ。おれが出ればいいのだから」 「いや、それはいかん、局長。こういうところで」 「しかし、あの連中の顔を見たまえ。刀を合わせずに納まるわけがない。君たちは、手を出さずに見ていてくれ」 「そうは行かぬ。仕方がない、わたしも助成する」 |
- 村上元三新選組の中巻です。山南敬助脱走から甲陽鎮撫隊が甲州へ向かうところまでが書かれています。主役の架空隊士秋葉守之助は開明的な思想を持ちつつも近藤への義のために新選組隊士としての戦いを続けます。
- 引用の一節は訊問使として長州へ赴いた近藤勇が長州藩士などに取り囲まれた場面で、戦いを避けようとするも近藤と共に戦う伊東甲子太郎の様子です。
- 秋葉さんは、仇として狙ってきた人の妻と旅芸人の女間者と、京の芸妓さんの三人の女性に色々と助けてもらいます。モテモテです!
- だんだんと近藤、土方の人間味のある場面が多くなってきて、滅亡へ向かう新選組の中での両人の弱い部分も読み取れる。
- 官軍がよくかぶってる赤い毛の被り物は赤熊(シャグマ)って言って、色違いは白熊(ハグマ)、黒熊(コグマ)なんだって。
幕末テロリスト列伝
「いや、その懸念は、私にもあった。ところが今日、近藤に会ってみると、思いのほかに人当たりもやわらかく、話のわかる男なのだ。あの男の統率する集団ならば、決して無頼の徒の集まり、といったものではあるまい。私は近藤を信じて京都へ行くことにするよ」 |
- 幕末の四大人斬りと新選組の暗殺事件、幕末の有名な暗殺事件が短編で収められています。暗殺=テロリストといった解釈でしょうか、佐幕派、勤王派問わず人斬りはテロリストといった位置付けの本です。
- 引用の一節は、近藤勇の呼びかけに応じ京都に向かうことを決意する伊東甲子太郎の台詞です。
- 四大人斬りの生涯と桜田門外の変などの暗殺事件がまとめられているから、新選組以外の人や出来事をあまり知らないひとには一気に知れて丁度良いかもしれないですね。
- 池田屋事件での新選組の活躍には疑問があるとしたり、近藤の政治力が注目されていたとあったり、暗殺以外にも色々な解釈が興味深いのう。
- 伊東甲子太郎加盟は最初から新選組乗っ取りが目的って言われるけど、そうだったのかなあ。
新選組風雲録 激闘篇
「切腹などをしたら、土方の思うつぼにはまるだけだよ」 うっすらと笑いながら、伊東は策を云った。 「隊士たちにまで、きみの意が奈辺にあるかを示すためには、局中次席のきみが新選組を脱走してみせることだ」 |
- シリーズ二作目になる本書ですが、物語はさらに進み大阪のぜんざい屋事件、伊東一派の新選組加盟、幹部隊士の粛清、松本良順と懇意になるエピソード、そして山南脱走などたくさんの物語がわりと細かく描かれています。この一節は自身の目論見のために山南に脱走を勧める伊東の台詞です。
- 前作に引き続き新選組の追求から逃げる桂小五郎さんとの駆け引きも描かれていましたね。
- この本では山南の脱走は伊東が謀り、その討手は土方となっているんじゃの。
- 巧妙に事を進めようとする策士伊東と、事を一徹に進めるけど敬服したら底抜けに心酔する近藤。土方がいなかったら良いコンビになれた?